『人を賢くする道具 ――インタフェース・デザインの認知科学 』第3章 第3章 表現のもつパワー レジュメ
主張 心の本当のパワーは外部からの認知の力を増強する手段を作り出すことにある。
根拠 人間の心は外部の助けなしでは制約を受ける。
例示 紙と鉛筆の発明が論理的思考とテクノロジーにブレークスルーをもたらした。
主張 アーティファクトの支援なくして賢くなることは不可能である。
根拠 口承文化や非文字の社会では外部の支援物の恩恵を享受できない。
その社会では数学や問題解決の手法、教育制度が未発達である。
おまけ
ソクラテスにとって読書は受動的で真剣な質問が不可能なものと見なされた。
彼は、本は読者が自分の考えについて疑問を持ち、内省する機会を与えないからだと考えていた。
しかし、中世の読み手は、本について疑問を持ち、内省することを奨励されていた。
彼らは、レトリックの規則を学び、それを一文一文に使うことを期待されていた。
読書は、本を批判的に読み、自分の考えを展開する能力を養うために使用できる強力なツールだ。
私たちは、本を読む方法を学ぶことで、本をより有効に活用することができる。
認知のアーティファクト
主張 認知のアーティファクトは、複雑な出来事を理解し、他の人と共有するために使用される。
根拠 アーティファクト(鉛筆、クリップなど)は、話や説明の中で使われ、実際の出来事や物体の代わりとなる記号として機能する。
主張 アーティファクトは、抽象化と表現の能力を通じて認知のパワーを生み出す。
根拠 抽象化とは、知覚や体験から関係のない部分を捨象し、別のメディアで表現する能力だ。
根拠 表現とは、出来事や事物を制約から解放し、想像上のものや概念を扱う能力だ。
表現のシステムは、表現されるものの世界と表現するものの世界の二つの要素から構成される。
根拠 認知のアーティファクトは、表現をサポートし、人工的な仕組みとして他者との共有を可能にする。
主張 アーティファクトは誤った仮定や推論につながることもある。
根拠 アーティファクトは現実の出来事を正確に表現できない場合がある。
表現をタスクに合わせる
主張 問題を解くための最初のステップは、問題を解けるように表現することだ。
根拠 同じ問題であっても、問題の表現方法を変えることで、問題の難易度や解決方法が大きく変わることがある。
主張 タスクに適した表現方法を見つけることは、問題を効果的に解決するために重要だ。
おまけ 私たちは、いつの日か、すべての情報が電子機器で利用できるようになり、タスクに応じて情報をさまざまな方法で表示できるようになることを期待している。
表現は情報アクセスと計算をどう支援するのか
主張 情報を適切な方法で表示することは、タスクを簡単にし、エラーを減らすのに役立つ。
根拠 表形式は、情報へのアクセスと計算を支援する優れた方法だ。
根拠 マトリクス形式は、複数の基準で情報を整理するのに最適な方法です
主張 内省的なタスクを必要としない表現形式は、情報アクセスと計算の支援に有効である。
根拠 情報表示において、利用者は必要な情報を見つけるというタスクと、結論を計算するというタスクを抱えている。
読みにくい例文の内省的な理解課題では、図や表などの表示形式が助けとなる。
時刻で整理した表現形式は処方箋の利用性向上に役立つ可能性がある。
数の表現
主張 適切な表現を選択することでタスクを簡単にし、エラーを減らすことができる。
根拠 数の表現方法を選ぶことによって、演算の困難度や視覚的な表現の理解が変わる。
数は表記方法によって操作のしやすさが異なる。
加算的表現は、置換的表現よりも操作が簡単だ。
タリーマークは加算的な表現である。
アラビア数字は置換的な表現である。
数を増やす際に前の記号を置き換える必要がある。
おまけ ローマ数字は順序に関係なく記号を組み合わせて表現される。
自然さと体験的認知
主張 自然な表現は、タスクを簡単にし、エラーを減らすのに役立つ。
根拠 人間は知覚的空間的動物である。
知覚的空間的表現は抽象的表現よりもマッピングが容易で信頼性が高い。
数表に比べてグラフは知覚的に比較が可能だ。
数字は内省のためのツールである。
根拠 体験的認知は、内省的認知よりも簡単で、正確だ。
自然さの原理に基づき、表現の特性と表現されるものの特性が適合する場合に、体験的認知が支援される。
主張 最適な表現はタスクに依存し、困難なタスクを簡単にすることができる。
根拠 知覚に適した表現はシンプルで使いやすく、ストレスや作業負荷の高い状況でも効率的に扱うことができる。